特定技能制度の定着期に生まれた、新しい「裏方支援」モデル

イノベーション部門

Tradee株式会社 代表取締役 佐藤 世浩

特定技能制度の定着期に生まれた、新しい「裏方支援」モデル。Tradee株式会社が手がける営業支援サービス「Visa@po」は、外国人材を受け入れる現場を陰で支える存在として注目を集めている。
特定技能制度が導入された2019年以降、登録支援機関は全国に急増したものの、制度理解や営業体制の構築が追いつかず、十分に機能しないケースが後を絶たない。
同社は、その“制度の隙間”を埋める形で、登録支援機関の営業力を補完し、外国人が適切な企業で働ける環境づくりを後方から支えている。
代表の佐藤世浩氏は、自ら登録支援機関の運営を経験してきた人物。制度の細部や現場の苦労を知り尽くす彼だからこそ生み出せたサービスであり、現在は業界でも唯一無二のポジションを築きつつある。

特定技能に特化した“裏方の営業部隊”としての役割

Tradeeが提供する Visa@po は、登録支援機関が抱える「受け入れ企業の新規開拓」という大きな課題を代行するサービスだ。制度上、特定技能人材を受け入れる企業の確保は登録支援機関にとって不可欠だが、実際には営業経験のあるスタッフが不足している場合も多く、体制構築が追いつかない。

そこで同社が担っているのが、アポイント獲得や制度の説明といった“入口部分”の支援である。メンバーはほぼ全員が登録支援機関での実務経験者で構成されており、制度のグレーゾーンや現場の感覚まで理解している。そのため単純な営業代行ではなく、状況に応じてコンサルティング的な伴走まで行える点が、他社とは異なる。

「支援機関の内側に入り込み、裏方として伴走するサービス」と佐藤氏は表現する。表舞台に立たずとも、登録支援機関の成長を支える独自の立ち位置を構築しているのが特徴だ。

外国人労働者の環境改善が使命に――異業界から転身し見えた現実

佐藤氏のキャリアは、外国人材支援とは異なる領域から始まった。新卒で大手メーカーの営業職に就き、成果主義の環境で入社初月からトップセールスを記録。その後、税務コンサル会社に転職すると、ここでも成績1位を維持し続け、1年足らずで40名を率いる管理職へと昇進した。

転機となったのは、2019年の特定技能制度の開始である。誘いを受けてMUSUBEE株式会社に参画し、外国人紹介事業「MUSUBI」の立ち上げに携わったことで、制度の裏側に潜む問題を目の当たりにする。高額な借金を背負って来日し、実際の手取りは数万円。制度は整っているにもかかわらず、現場では搾取構造が残り続けていたのだ。

その違和感を放置できず、佐藤氏は一般社団法人在日外国人生活支援協会を設立。登録支援機関として外国人材の働く環境を継続的にサポートする仕組みをつくった。そして次のステップとして、Tradeeを立ち上げ、今度は「支援機関を支える」立場へと移行する。単に人材を送り出すのではなく、仕組み全体を改善する側に回りたいという覚悟が、この事業の原点にある。

制度の“内部”を知るメンバーだからこそできる高度な営業

Visa@po の営業チームが高い成果を生む背景には、メンバー構成がある。ほとんどが佐藤氏のもとで登録支援機関の実務に携わった経験者であり、制度のボトルネックや現場のニーズを肌感覚で理解している。

たとえば架電ひとつとっても、「相手企業がどの工程で止まっているのか」「受け入れを前に進めるための“次の一手”は何か」を瞬時に判断できるのは、制度経験者ならではの強みだ。

また、インサイドセールスは完全成果報酬制で稼働しており、月60〜80時間で100万円以上を稼ぐメンバーもいれば、週1〜2日の稼働で安定して20万円以上を得る主婦層も存在する。専門性の高いニッチ領域でNo.1を維持できていることが、こうした高い報酬還元を実現させている。

さらに、録音データを共有し合い、成功事例を「ナイスアポ」として全体に展開する文化づくりにも力を入れている。個が強いチームでありながら、ノウハウが全体に蓄積される仕組みが整っているのだ。

事業拡大のカギは“人”。社会全体に広げるための次の一手

現在、Visa@poの業界内での存在感は非常に大きい。毎月約10社が新規で利用し、ネガティブな解約理由が一度も出ていないという状況は、支援の質が評価されている証でもある。

一方で、今後の成長に向けて新たな壁も見えてきている。専門性を持った営業人材の確保が追いついておらず、需要に対して供給が追い付かない場面が増えているのだ。

そのため佐藤氏は、将来的に事業を外部へ譲渡する可能性についても視野に入れている。「引き継ぎや教育にしっかり伴走しながら、ノウハウを全国へ広げたい」と考えており、より大きな資本とリソースを持つ企業との連携が、制度全体の品質向上につながると見ている。

登録支援機関を支える“仕組みの礎”をつくり、外国人材と企業双方にとってより良い社会を実現する。そのために、Tradeeはこれからも裏側から業界の底上げを図っていく。

【企業情報】

Tradee株式会社

本社住所:
〒211-0005 神奈川県川崎市中原区新丸子町758番地2 クリオ武蔵小杉アーバンテラス1F
HP:
https://tradee.co.jp/
設立:
2022年1月4日
代表取締役:
佐藤 世浩