人を伸ばす仕組みを世界へ──「ほめ育」で組織と社会を変える挑戦

教育部門

株式会社スパイラルアップ 代表取締役 原 邦雄

「ほめる」という行為を、感情論ではなく“再現可能な経営技術”へと昇華させた教育メソッドがある。それが、株式会社スパイラルアップの展開する「ほめ育」である。すでに企業導入は800社以上、幼児教育では200園以上に広がり、国内外20カ国・累計100万人以上へ届けられてきた。離職率の低下、人材定着、組織活性化、売上向上といった成果を具体的に生み出している。日本が抱える少子高齢化や自己肯定感の低下という社会課題に対し、「人を伸ばす構造」そのものを提示するモデルである。その中心に立つのが、代表の原氏である。原氏は株式会社スパイラルアップ代表取締役であり、一般財団法人ほめ育財団代表理事を務める。世界経済フォーラム(WEF)Global Shapers Communityインド2025議長、WEF公式国際サミット「The Deccan Dialogue」議長を歴任し、日印未来教育センター初代理事長として教育連携拠点の設立にも関わっている。著書は34冊、多言語に翻訳され、米経済誌『Forbes』Web版「Forbes.com」での連載をはじめ、NHK『あさイチ』、フジテレビ『ホンマでっか!?TV』などメディア出演も多数。2025年には教育テクノロジー分野での実践が評価され、「1EdTech Japan賞 奨励賞」を受賞した。しかし、その現在地に至る道は決して一直線ではない。

理系出身──転機となった“気づき”の瞬間

原氏は大学時代、化学を学んだ理系出身である。一見、教育や組織論とは無関係に思えるが、「分析し、ロジックで組み立てる力は今の礎である」と語る。

新卒で食品会社へ就職。その後、より経営に深く関わりたいという思いから船井総合研究所へ転職した。だが、そこには同世代で自分より優れたコンサルタントがいた。

「このままでは上に行けない」

そう直感したという。負けず嫌いの性格が、次の決断を生んだ。

コンサルタントがラーメン店へ飛び込んだ理由

原氏は船井総研を退職し、住み込みでラーメン店に入った。給与は月30万円強。休みは週1日。住居は店の2階。使う時間もなく、月5000円しか使わなかった月もあったという。

なぜそこまでして現場へ戻ったのか。

「日本一のコンサルタントになるには、他と違う経験が必要だと思った。現場を“体験”ではなく“生活”しなければ、本質は語れない」

4年2カ月、徹底的に現場に身を置いた。この経験が、後の「ほめ育」の土台となる。厳しい労働環境の中で、人が辞める理由、続く理由、成果が出る瞬間を体感した。やがて「原氏に来てほしい」という指名が入り始める。自らの理論が企業の業績改善につながる実感を得た瞬間であった。

「ほめる」は人格ではなく“行動”を扱う

ほめ育の最大の特徴は、人格ではなく“行動”を評価対象とする点にある。成果を生むのは結果ではない。結果を導いた具体的行動である。顧客満足につながった行動を特定し、全体で再現する。これが組織を強くするロジックだ。

この理論は国境を越える。Udemyで展開する英語版講座『The Practical Praise and Raise Leadership Training』も日本版と同一内容である。半年で約1億円の外貨収益を生み出した実績もある。

文化差による戸惑いもある。しかし原氏は語る。

「ほめるも叱るも関心の表現である。無関心こそ最大の問題である」

一貫した基準で向き合えば、文化の壁は越えられる。

企業内に「ほめ育事業部」をつくる構造改革

原氏が提唱するのは、外部依存型研修からの脱却である。企業内に「ほめ育事業部」を設け、社員を受講者から指導者へと役割転換させる。

3年で300社導入を目指す。現在は100社×4名の社内コンサルタントを育成し、自社100名と合わせ500名体制を計画。ライセンスモデルでは粗利率90%という高収益構造も設計している。

「人を育てることが、会社を強くする仕組みになる」

理想論ではなく、経営戦略である。

インド発「ほめ育ランド」構想

次なる挑戦はインドでの「ほめ育ランド」である。病院、学校、企業、商業施設を統合したスマートシティ型モデルで、街全体を“ほめ育”で統一する。

利益は奨学金へ循環。教育・医療・経済活動を横断する社会実験である。日印未来教育センター設立も、その一環だ。

地球規模の教育モデルへ

「ほめ育」はすでに20カ国へ展開。2025年に開発したUdemy講座は年商1億円を達成し、「1EdTech Japan賞 奨励賞」も受賞した。

最終目標は明確である。

「ほめ育を地球人の教育方針にする」

ラーメン店の住み込み時代から世界経済フォーラム議長へ。原氏の歩みは、挑戦と継続の象徴である。

モットーは「意志があるところに道はある」。教育・ビジネス・国際協働を通じて、人が人を認め合う文化を世界へ広げる挑戦は、いまも続いている。

【企業情報】

株式会社スパイラルアップ

本社住所:
〒541-0053 大阪府大阪市中央区本町4-8-1 SD本町ビル702号
HP:
https://spiral-up.jp/
設立:
2011年5月
代表取締役:
原 邦雄