地方創生を「人の創生」から。新卒領域で学生と企業を両面支援
株式会社Human Creation 代表取締役 山川 勇之丈
地方を元気にするには、産業や観光の前に「人」が要る。株式会社Human Creationは、採用コンサルティング・人材紹介・地方創生活動を軸に、学生と企業の双方に向き合いながら“人から始まる地方創生”を実践している。代表の山川勇之丈氏が掲げる軸は一貫している。「沖縄の経済を再建する」。その価値観を起点に理念経営を据え、新卒領域で独自の取り組みを広げている。同社がどのように企業の採用を変え、学生の選択肢を広げているのか。山川氏に話を聞いた。
理念経営の中心にあるのは「沖縄の経済を取り戻す」という一本の価値観
当社が大切にしているのは、いわゆる理念経営です。ミッション・ビジョン・バリューに根ざした意思決定を徹底し、採用段階からその思想に共感する仲間とチームをつくる。私自身が長年持ち続けてきたのが、「沖縄の経済を再建したい」という価値観です。同じ想いを共有できる人と働くため、理念を単なる掲示物にせず、経営の根幹に置いています。
そのうえで事業として柱になっているのが、企業側に伴走する採用コンサルティングです。企業はどうしても“企業の言葉”で魅力を語ってしまいがちで、学生側の視点で見ると刺さらないメッセージになってしまうことが少なくありません。そこで私たちは、企業の強みの解釈を広げ、学生に届く言語へ翻訳する形で、採用の打ち出しを設計します。
事実は一つ、解釈は無限。採用を“逆転の発想”で強くする
採用支援では、「弱みを強みに変換する」ような設計が効く場面があります。例えば、ある地方の建設業では、5年目〜10年目の若手職人が育っては辞める、という課題がありました。育成環境・成長環境が整っているがゆえに、独立して“一人親方”として羽ばたいていくケースが多かったのです。
これを「若手が定着しない」という枠で捉えるとネガティブですが、見方を変えると、「若手親方の登竜門」にもなり得る。さらに踏み込んで、「建設業界のリクルート社」「独立・起業するならまず当社」という打ち出しに変換したところ、就活生の注目を集めました。
事実は変えられませんが、採用の言葉に変換する“解釈”は無数にある。私たちは、その中から最も学生に刺さるポジティブ訴求を設計していきます。
こうした支援の結果、「自分たちが知らなかった強みを知れた」と言われることも多いです。母集団形成(自社求人に関心を持つ学生の数)が、1年で前期比600%になったケースもあり、複数の企業で昨対200%以上や目標達成といった成果につながっています。
高校時代の“経済的苦難”が、沖縄の現実を直視させた
私が「沖縄の経済を再建する」と決めた背景には、個人的な原体験があります。高校時代、家庭には多額の借金があり、生活は楽ではありませんでした。学校と部活が終わるとアルバイトへ向かい、家計を支える日々。それでも、働いても働いても豊かになっていく実感が持てなかったんです。
そこで自分と周囲を客観視したとき、沖縄という土地の“二面性”が見えてきました。精神的な豊かさが語られる一方で、経済的には厳しい現実がある。例えば幸福度調査では沖縄が上位に位置するという話もあります(幸福度調査2024:沖縄県は4年連続で幸福度ランキング1位)https://www.regional.co.jp/staffblog/detail/17538
一方で、平均年収や賃金が全国でも下位水準であるというデータもあります(沖縄県の平均年収や賃金)https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/2104662/
この“心は豊かだが経済は厳しい”という構造を、自分の世代で変えたいと思うようになりました。沖縄はもともと琉球王国として、国内外のハブ機能を持ち、経済的にも豊かだった歴史がある。ならば、かつての琉球王朝のように国内外のハブ拠点としての沖縄を取り戻し、“大商人時代”の再来に向けて動く経営者になろう。高校生のとき、そう心に決めました。
上場企業で体感した「理念が人を動かす力」──採用領域での起業へ
大学卒業後、新卒でブライダル業界のプライム市場上場企業、アイ・ケイ・ケイホールディングス株式会社に入社しました。営業職・営業マネージャーを経験したのち、人事室へ。人事室長として採用や研修などにも携わりました。
そこで強烈に実感したのが、理念経営の力です。ミッションやビジョンが人を動かし、人の可能性は想像以上に伸びていく。その確信が得られたことは、私の起業観にも直結しています。
「沖縄の経済を再建する」というビジョンは、人を軸にした事業で実現できる。採用に長く携わってきた自分だからこそ、最前線の“入口”である新卒領域から変えていける。そう考え、Human Creationを立ち上げました。
いま注力するのは「地方就活」と「県外就活」両方を支える2つの仕組み
現在、特に力を入れている取り組みは2つあります。
1)地方創生プロジェクト「OFA」
OFAは、地方エリアを中心に、地域企業と学生をつなぐ新しい採用・育成モデルです。地方の採用は、企業が単独で頑張っても、そもそも母数が少ないという構造課題があります。そこで地方企業同士が提携し、就活解禁の直前に出会うのではなく、大学1年〜2年の早い段階から、地方で働くキャリアの解像度を上げ、若い力で地域の未来を守るというマインドセットをつくった上で、企業との接点を設計していきます。
就活期になると、多くの学生は県外・首都圏へ意識が向きがちです。しかし、その前段から地方で働く選択肢が“自然に立ち上がる状態”をつくれれば、地方採用の常識そのものが変わっていくと考えています。
2)県外就活支援「ガイカツ」
もう一つは、地方から都市圏で働きたい学生を支える「ガイカツ」です。実は、地方には“上京就活を体系的に支援するサービス”がまだ十分にありません。沖縄から東京で就活をすれば交通費の負担が大きく、大学や行政が都心就活の情報を持ちきれていないケースもある。そうしたギャップを埋めるために、ガイカツでは面接対策や書類添削などを行い、地方学生が都市圏でも戦える状態をつくります。就活支援と人材紹介をセットで提供し、選択肢を広げています。
「新卒領域のパイオニア」へ。沖縄から県外、そして海外へ
当社は「新卒領域のパイオニア」をビジョンに掲げています。“新卒といえばHuman Creation”と言われるポジションを取りにいく。そのために、企業と学生の両面支援を磨き続けます。
個人としては学生時代から「沖縄から世界へ」を掲げてきました。これからも沖縄の経済に貢献したい。具体的には、沖縄を盛り上げるスタートアップ企業を数多く生み出していきたいと考えています。その先駆けとして、まずはHuman Creationを成長させ、沖縄県外、さらには海外でも戦っていける会社にしていきます。
地方創生を、人の創生から。学生の人生と、企業の未来と、地域の可能性をつなぎ直す挑戦は、ここからさらに加速していきます。
【企業情報】
株式会社Human Creation
- 本社住所:
- 〒901-2227 沖縄県宜野湾市宇地泊3-7-1 宜野湾ベイサイド情報センター2F Gwave Incubate
- HP:
- https://humancreation.co/
- 設立:
- 2022年1月
- 代表取締役:
- 山川 勇之丈